発達凸凹七掛け論『中1で小4の凸凹くん』

小学校時代まで

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ラズくんの興味の変遷

ラズくんは幼稚園〜1年生の間くらいまで、便器を作りたいと言っていました。
おそらくトイレタンクの水が流れる仕組みが面白かったのだと思います。
あまりに作りたいとしぶとく言い続けるので「将来TOTOに就職すればいいよ」と言ってやり過ごしていました。
自宅で便器を作るのは無理ですし……いや、簡易版を作れたのかな。作らせてあげればよかったでしょうか? でも親の勝手ですが気乗りしなかったので……😰

便器を作れなかった代わりになのか、トイレットペーパーをよく作っていました。
「新聞紙で再生紙を作る」というのをどこかで知ったからか、新聞紙を水でふやかして、びしょびしょのロール状のものを作って乾かしていました。
それをたくさん作るので気持ち悪かったのですが😨、仕方ないと思い好きにやらせておきました。
今でも、その頃のカピカピの物体をいくつか捨てずに保管しているので、ちょっと気持ち悪いです😨

3年生になったらプログラミングにはまり、最初のころはスクラッチを使って時計のプログラムを作ったりしていました(拘ってうるう秒も考慮していました)。

今はラズベリーパイという小さなコンピュータで何かをやっています。
(ラズくんの名前はラズベリーパイからとりました。)

ラズベリーパイの存在は4年生の頃「東京理科大学近代科学資料館」を見学したときに知りました。

ラズくんの気に入っている本です

本屋さんでラズくんが欲しがった本などを買い与えたりしたくらいで、私はプログラミングの知識は何もないため、ラズくんが何をしているのか見ていても分からないです……。

また小学校4〜5年くらいは、動き続ける機関を作れないかと、結構長い時期考え続けていました。
その機関で発電できるのではないか、という考えでした。
ラズくんのアイディアは①引力 ②磁力を使ってでした。どちらも自然に力が発生しているからだということでした。
それで調べたのですが、永久機関というのは実現不可能なのですね。
物が重力で落ちたらまた上げないといけないですし、磁力も離す力が必要です。
私はそういうことはあまりよくわからないのですが、夫が物理的に不可能だという事を説明し、ラズくんの考えを一蹴していました。

10歳過ぎても自宅では箸が使えなかった

ラズくんは思考系の模試が得意で高得点を出しやすく、国語では通っていた校舎トップをとったこともありました。
(だからといって持ち偏差値が高かったわけではないです。クラス替えなどに関わる公開模試ではボロボロ、ということはしょっちゅうでした。また機会があったら触れたいです)

そんなラズくんですが、家に帰るとつかみ食べを六年生までしていました。
思考力があっても自宅で箸は使えないのかと思いました。
思考できるのに自分の意思や意識はコントロールしにくい。
「今すぐに家を出ないと習い事に間に合わない!」と私が焦っているのに、平気でパソコンの前に座り始めたりします。

こういう子がいることを、ラズくんを育てていなかったら理解することができなかったかもしれません。
これが凸凹のある人が抱える苦悩なのかな、と思います。

ラズくんがご飯を食べた後は、いつもテーブルがドロドロでした。
どんなに液状のものも掴み食べをしていたので、2歳児が食べた後のようでした。
味噌汁もフィンガーボールのように抵抗なく手を突っ込み、具を掴んで食べていました。
いくら注意してもなおらなかったです。

一回注意されると箸を持つのですが、すぐに左手に箸を持ち替え、箸と茶碗を一緒に持って、右手はいつも通りの掴み食べをしました。(これは、ラズくんがよくやるスタイルでした)
「その箸は飾りか!💢」と何度も言いました。
スプーンに代えると、少しは使うようになった気がしますが、あまり変化なかったです。

一番悩んだり躾けようと必死になっていたのは、年長さんくらいから2年生くらいまでの、まだ箸を持つ望みがギリギリあった頃までで、
ハサミみたいな箸や、持ちやすそうな箸を買ってみたり、動画を見ながら持ち方や、小さいものを挟む練習をしたりと、考えつくことは全てしましたが、ある学年を境にもうどうでもよくなりました。
半分諦めていましたが、一応は毎日、毎食ごとに一回は、口先だけの注意をしていました。

そしてどうやら、給食の時間やレストランでは箸やカトラリーを使っていたようなので、頑張れば使えないわけではないようでした。
「まあ外で使えるならいいか」という境地に至ったころ、
中学生になろうかという時期に、やっと家でも自然に箸で食べられるようになりました。

最近になってやっと手づかみ時代の心のうちを語ってくれたのですが、「箸がめんどうだった」のだそうです。
いや、素手のほうが汚れるし面倒でしょ?! と言うと、「僕からするとそうはならなかった」と。

普通だったら、毎回毎回注意されるのが嫌だったり、小さい子みたいで恥ずかしいな、という気持ちが先に来ると思うので、ラズくんが怠け者というより(他の子よりも、所謂「怠け者」の部類に入ることは、特性上理解していますが)
箸を使うことが、どんな面倒事の中でも最上級に面倒だと思うほどの不器用さがあったのだろう、と今は思っています。
そんな箸を外では辛うじて、体裁のために頑張って使っていたんだな、とも。

理解も共感も全く追いつかなかったラズくんのこれまでの掴み食べですが、想像力を働かせて整理すると、そう結論づけるのが自然だと思うのです。

通級で最後に言われた言葉「年齢より3歳下」

話は、通級を卒業することになった時、4年生の終わりに遡ります。
担当の先生に、この先のアドバイスとして「常に年齢より3歳くらい下だと思って、この先接してくれれば良いと思います」と言われました。
言葉を慎重に選びながら、でも「言っておかねば」みたいな声と面持ちでした。

ですが当時の私には、その言葉の持つ印象だけが響いてしまい「ラズくんはずっと三年遅れ続けるってこと?」って、ドキンとしてしまいました。
(うまく言えないのですが、私はこういうことが良くあるのです。
最初に迫ってくる印象が目くらましとなり、相手の意図をよく取りこぼしてしまいます)


また、ラズくんの自転車の練習に関してもですが、私はよく「そんなに甘やかさないほうがいいよ!」って、友人や夫を含めた身内にも散々言われてきました。

「幼稚園児じゃないんだから!」とか「いつまでも自立できないよ!」とか「いい加減子離れしなよ!」とかです^^;

そんな時に「ラズくんは通級の先生から、年齢より3歳遅れてるって言われたんだよね」と言い訳に使えるようになったのが、便利でした(笑)

ラズくんが出来ないことで不安になったときや、いたたまれなくなったとき、通級の先生に言われた「3歳下」を思い出すと心が安定しました。
私にとってハッキリと分かりやすい基準で、ラズくんにとっても優しい基準だったと思います。
本当に、最後に素晴らしいアドバイスを贈ってくれたんだな!※ と今になって思います。


※youtubeで公開されている「令和2年度発達障害者支援事業「ぽぽむ」講演会 「改めて『発達障がい』とは何か考える」という動画で、本田秀夫先生が凸凹ある特性の子に対する接し方を説明されています。
このお話にも繋がるアドバイスでした。本当に的確なアドバイスをいただけたことに感謝しています。

「ラズくんがいつも頑張っていること」を忘れないためにしたこと

最後に、これはたまたま、私がラズくんを叱りすぎないためにしていたことです。
結果的に自分のメンタル安定のためにも良かったなと思います。

トップ画像にしているラズくんの絵をリビングの壁にかけていました。
これは、ラズくんが幼稚園のときに、運動会のリレーで走っていた自分の姿を描いた絵です。

リレーはクラス対抗で、みんなが頑張って走っていたのにラズくんはフワーンとした感じで走っていて、お母さんがたの掛け声「がんばれ、がんばれ、ラズくん!」という掛け声があったからか、ニコニコしながらトコトコと観客席の前を通り過ぎていきました。
「あ〜遅いし本気の走りじゃなくてみんなに悪いな〜」と、思っていました。
ですが、後日この絵を持ち帰ってきた時「え、こんなに必死に走ってたっけ?!」とびっくりしました。

最初は「一生懸命さが出ていてなんだかいい絵だな」と思って軽い気持ちでリビングに飾っていました。
ですが毎日見ているうちに、ラズくんが「ぼーっとしていてもふざけていてもイライラすることをしてきても、好きなことばかりしたがって宿題をしようとしなくても、そう見えてはいるけど、いつでも本人はこんなに頑張っているんだ」ということを、この絵が思い出させてくれることに気づきました。

私は母親なのに、こうして目に見えるようにしておかないと、ラズくんの内面の凹みを忘れて、ついきつい叱り方をしてしまうのです。

毎日見ていたからか、やっとラズくんのこの姿が目に焼きついて、私の中に定着してきたのでそろそろ外そうかな? と思えたことで、今回の記事にしてみました。

ここまで読んでくださり、ありがとうございました。

コメント

  1. aino より:

    とても胸がきゅんとしました。
    素敵なお母さんですね。
    ラズくんの一生懸命なところもとても素敵です。
    色々子育てについて考えさせられました。

    • 凸凹くん母 より:

      コメントありがとうございました。
      悩みながらの子育て、また不安とともにブログ更新していますが、
      温かいお言葉、励みになりました。
      ありがとうございました!

  2. papapa1005 より:

    はじめまして。私の息子も発達障害グレーゾーンです。初めて読ませていただきましたが、身に染みる事ばかりで涙が出てきました。本当にしんどい子育てだった(現在進行形ですね)と思いますが、立派な成果をあげられたことに尊敬し、感服いたします。これからもブログを読ませていただきたいと思います。私も、諦めずに、我が子の頑張りに目を向けることができるように育てていきたいと思います。自分が怒りすぎていたこと、子供の頑張りをキチンと見ていなかったのではないかということを思い知らされました。勉強になります。これからも宜しくお願い申し上げます。

    • 凸凹くん母 より:

      はじめまして。コメントありがとうございました。
      4年生になるお子さんも同じグレーゾーンとのこと、当時の自分や息子を思い出すと、葛藤や不安で大変な日々の中、お母様も頑張られていることと想像します。
      毎日のことなので、怒ってしまうのは親も人間なので仕方ないと思います^^;
      怒ってしまうと怒られた当人ももちろん苦しいですし、母も自責や虚しさで苦しくなりますね。
      読んでくださった方が、少しでも楽な気持ちで生活できるよう、その材料となるといいな、と思いながら書きました。
      またお立ち寄りいただけたら嬉しいです。こちらこそ、どうぞよろしくお願い致します。
      あたたかいお言葉も、ありがとうございました!

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